お知らせ

「標榜診療科名見直しについて」

2007/06/25

厚生労働大臣
柳澤 伯夫 殿

特定非営利活動法人
日本気管食道科学会
理事長  甲能直幸
専門医制度担当理事(前理事長) 幕内博康

緊急要望書(標榜診療科名見直しについて)

日本気管食道科学会は標榜診療科としての「気管食道科」削除に対して再考をお願いするとともに、標榜診療科名見直しに関して慎重に時間をかけて審議されることを強く要望致します。

標榜診療科名見直しに関しましては5月14日の報道で知り、5月21日に医道審議会医道分科会診療科名標榜部会の審議内容を知り、6月20日の日本医学会臨床部会会議において修正原案を確認するに至りました。この間、本学会に対して標榜診療科名見直しに関するご説明、ご通知は頂いておりません。今,学会員の間では大混乱を来したております。

日本気管食道科学会は昭和24年に発足し昭和25年に日本医学会第41分科会として加入が認められ昭和27年に法定診療科への正式加入が認められております。本学会のカバーする領域は呼吸、発声、食物摂取と、人間が生命を維持し人らしく生きるための最も基本的な事柄に関与します。すなわち本学会の扱う分野は、生命の根幹に関わり、コミュニケーションに関与した疾患を扱います。社会におけるコミュニケーション能力は国民、国家の財産であります。それ故、これらの疾患を適切に診断・治療して社会に還元することは医師としての責務であると思われます。

見直しに関する主旨が診療内容を分かり易く表記し、患者・国民にとって理解しやすいものにするということには本学会としても何ら反対するものではありませんし、そのご努力には敬意を表します。しかし医療の現場において非常に基本的で重要な事柄を、充分な議論も行われずに変革すると、医療を提供する側だけでなく国民の側も大きな混乱を招き、ひいてはこれが国民の不利益に繋がるものと思われます。医療法第6条6の2項に定められているように政令の改廃の立案をしようとするときは、医学医術に関する学術団体の意見を聴くことが求められております。したがいまして標榜診療科名変更に直接関与する学会には少なくとも事前に通知、照会を頂き、学会はこの経過を学会員に説明し理解を得ることが必要と思われ、このプロセスを経ることにより医療現場の混乱を最小限に出来ると思われます。

また、標榜診療科名は今後、専門医制度とも密接に関係していくことが予想されます。本学会は昭和63年に認定医制度を、平成17年に専門医制度を発足させ、平成19年3月7日に厚生労働省より専門医資格公告の認可を頂きました。学会としても新しい医療技術、再生医療、遺伝子治療などに対して倫理的な問題も含めて国民のために社会に還元する医療を目指して努力を進めております。

貴職におかれましては、以上のような現状に充分なるご配慮を頂き、この伝統ある標榜診療科としての「気管食道科」の削除に関して慎重なるご審議を強くお願い申し上げます。