気管食道科に関連する疾患・症状

誤嚥

誤嚥とは

食物や唾液は、口腔から咽頭と食道を経て胃へ送り込まれます。食物などが、なんらかの理由で、誤って喉頭と気管に入ってしまう状態を誤嚥(ごえん)と呼びます。誤嚥は肺炎の原因ともなります。
誤嚥に近い状況として、喉頭流入があります。喉頭流入とは、食物が喉頭に流れ込むものの、声門より上にとどまり、気管には侵入しない状態です。

誤嚥の原因

誤嚥は、さまざまな病気が原因となって生じます。飲み込みの反射(嚥下反射)が障害されていたり、飲み込む力が弱い、あるいは食道を通過できない、といった状態が、誤嚥を引き起こします。 神経や筋肉の病気の初期症状である場合もあります。また、のどの腫瘍(咽頭癌や食道癌など)でも誤嚥を生じることがあります。

誤嚥の症状

誤嚥すると、むせる、あるいは咳き込むといった症状が出ますが、気道をまもる反射(気道防御反射)が低下している場合には、誤嚥をしてもむせないことがあり、肺炎を引き起こします。

誤嚥の検査

誤嚥の検査としては、さまざまなスクリーニング検査や、内視鏡を使った嚥下機能検査(嚥下内視鏡検査)が行われます。

誤嚥の治療

喉頭流入や、ごく軽度の誤嚥であれば、十分に咀嚼を行う、一口量を少なめにする、液体に増粘剤(トロミ剤)を添加する、といった嚥下指導が行われます。
誤嚥の程度が著しい場合には、専門病院でさらに高度な検査が行われ、嚥下機能改善手術や誤嚥防止手術といった治療も考慮されます。

誤嚥の診療科

水やお茶を飲む際によくむせる、といった症状がある場合には、誤嚥している可能性もあり、病院や診療所で診察を受けましょう。気管食道科や耳鼻咽喉科といった、のどの診療を専門とする診療科の受診をお勧めします。地域によっては、神経内科やリハビリテーション科で誤嚥の検査を行っている場合もあります。咽頭癌や食道癌の検査は、耳鼻咽喉科や消化器科で行われます。

【動画1:嚥下造影画像(正常な嚥下)】
【動画2:嚥下造影検査(正常な嚥下、スローモーション)】
【動画3:嚥下造影画像(誤嚥)】
【動画4:嚥下造影画像(喉頭流入)】
【動画5:嚥下内視鏡画像(誤嚥とむせ)】
【動画6:嚥下内視鏡画像(むせのない誤嚥)】
【動画7:嚥下内視鏡検査の様子】