日本気管食道科学会会報 第73巻3号
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図2 11C-Met-PET/CT胸骨裏面に結節状の集積を認めた(矢頭).〈後期相〉が施行され上縦隔の異所性副甲状腺腺腫と診断された。手術目的にX年3月に当科を紹介受診した。初診時現症:身長147.9 cm,体重50.3 kg,BMI 23.0,頸部に腫瘤を触知せず,他の耳鼻咽喉科領域に異常を認めなかった。 当科初診時の血液検査ではシナカルセト内服下でCaは11.5(正常値8.5〜10.0)mg/dl,Pは2.1 (正常値2.4〜4.3)mg/dl,intact-PTHは357(正常値10〜65)pg/mlとの高カルシウム血症およびintact-PTH高値を認めた。MIBIシンチグラフィでは早期相で甲状腺および上縦隔に集積を認めたが後期相で集積を認めず,異所性副甲状腺腺腫の確定診断には至らなかった(図1)。11C-Met-PET/CTで日気食会報,73(3),2022〈早期相〉図1 MIBIシンチグラフィ早期相で甲状腺および上縦隔に集積を認めたが,後期相で集積を認めず,異所性副甲状腺腺腫の確定診断に至らなかった.246は胸骨裏面に結節状の集積を認め,上縦隔の異所性副甲状腺腺腫が疑われた(図2)。頸部造影CTでは11C-Met-PET/CTの集積と一致して胸骨上縁背側に長径1.3 cmの腫瘤を認め(図3),上縦隔の異所性副甲状腺腺腫と診断した。病変の同定が困難な可能性を考慮し,薬事委員会および倫理審査会での承認を得て,術中にメチレンブルー(3, 7-bis(dimethylamino)-phenothiazin-5-ium chloride)を用いた生体染色を行い,全身麻酔下に異所性副甲状腺腺腫摘出術を施行した。手術所見:メチレンブルー 5 mg/kgを生食100 mlに溶解し,手術開始前から100 ml/hで投与した。頸部伸展位で鎖骨上2横指に5 cmの横切開を

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