日本気管食道科学会会報 第73巻3号
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47IIIIIIIII716表2 1992〜2020年にPlastic bronchitisに対して気管支鏡での治療を行った38症例M:male, F:female. L:left, R:right.Type:Seearらによる粘液栓の病理学的分類,Group:Broganらによる患者背景の分類(表1).Flu:インフルエンザウイルス,HBoV:ヒトボカウイルス.MV:Mechanical Ventilation(人工呼吸管理),ECMO:Etracorporeal Membrane Oxygenation(体外膜型人工肺).治療後の転帰(特に問題なくNo.著者報告年齢軽快したものは記載なし)1池袋10)199223若杉11)1994 医学中央雑誌にて「小児」「粘液栓or粘液栓塞」「plastic bronchitis」で検索を行うと84件の報告が該当する。それらの症例は気管支喘息・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症・スエヒロタケによるアレルギー性気管支肺真菌症などの真菌によるアレルギー性疾患,Fontan術などの開心術後,肺悪性腫瘍を契機にしたものなど,呼吸器・循環器における基礎疾患があるものが殆どである。その中で,本邦で1992年から2020年までの間に気管支鏡を用いて診断・治療された12歳以下の小児のPB症例報告は39例であった。そのうち2例は先天性心疾患を有しているBrogan分類のGroup IIであり,それ以外のGroup I・IIIと思われるものが37例であった。Group IIのPBは耳鼻咽喉科医が診断から治療に関わることが少ないため,今回の検討ではGroup II以外の37例と本報告を含めた計38例を(歳)性側TypeGroup1ML不明III3ML不明IIIマイコプラズマ肺炎H. parainfluenzae1FL4鈴木12)19945宮崎13)19956菊池14)20037北沢15)200410FR不明IIIマイコプラズマ肺炎8大畠16)200411MMR1FL9中川17)20052MR1011山本18)20063FL12一ノ宮19)200711MMR133ML1ML14153FL16松下21)20092ML佐久間20)2008IIII3置2MLIII2MR2MR不明IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII先行感染咽頭炎風疹感冒Flu A記載なし上気道炎上気道炎症状あり不明(熱発あり)不明上気道炎症状あり上気道炎症状あり記載なし喘息様気管支炎記載なし上気道炎症状ありHBoV気道感染241検討した(表2)7, 10〜29)。内訳は男児25例,女児13例と,男児が女児に比して2倍程度多い傾向にあった。年齢に関しては1992〜2009年の間は16例中の15例(94%)が3歳以下であったが,2010年以降の22例においては16例(73%)が4歳以上と年齢層が上昇しており,これは前述したように2010年以降から流行している新型インフルエンザ感染症の関与が疑われる。左右ほぼ同数で,両側同時発症を5例に認めた。摘出した粘液栓の病理学的所見が記載されているものは22例であり,そのすべてが炎症細胞の浸潤を主体としたSeear分類Type Iであった。またBrogan分類では16例(42%)がアレルギー性疾患を有するGroup I,それ以外の22例(58%)はGroup IIIであった。全体では34例(89%)で何らかの先行感染症状を認めており,アレルギー性疾患を有さずかつ先行感染もはっきりとしな日気食会報,73(3),2022MV(日)上気道炎症状あり記載なしECMO使用術後も喀痰が多く,頻回な気管内洗浄を実施術翌日にチューブ閉塞で呼吸停止13術後もMV中に無気肺を反復MV中,計3回の気管支鏡処置1426062気管内挿管後の気管支攣縮ありMV中,計3回の気管支鏡処2つの病院で計2回の気管支鏡処置挿管後に気道閉塞,心肺停止蘇生後も痙攣が残存

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