日本気管食道科学会会報 第73巻3号
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図2 胸部単純CT検査(A)左主気管支に軟部影(矢印)を認める.左肺に少量の胸水(矢頭)が出現している.(B)左下肺の無気肺(※)を認める.図3 胸部MRI検査.T1強調,冠状断像.左主気管支に高信号域(矢印)を指摘された.II.症  例図1 胸部レントゲン写真右肺の内側縁のライン(矢印)が正中を越えて対側まで過膨張しており,縦隔左方偏位を認める. われわれは枝豆による気管支異物の疑いの診断で緊急気管支鏡手術を行ったものの,最終的に鋳型気管支炎の診断に至った1例を経験した。文献的考察を加えて報告する。 症 例:4歳,男児 主 訴:繰り返す感冒症状,喘鳴 既往歴:特記事項なし アレルギー歴:指摘なし 家族歴:特記事項なし 現病歴:X年8月に喘鳴症状が出現した。近医小児科を受診し,溶連菌感染症の診断で治療され軽快した。9月に再度感冒症状が出現し,ヒトニューモウイルス感染細気管支炎の診断にて治療され症状は改善した。10月に入って再度発熱し肺炎と診断され,抗菌薬投与での入院加療が開始された。しかし症状の改善が乏しく,胸部レントゲン写真で右肺の過膨張と縦隔左方偏位を指摘された(図1)。胸部単純CT検査を実施したところ,左主気管支の閉塞および胸水の貯留(図2(A)),左下葉無気肺(図2(B))を指摘され,中等症以上の肺炎の診断にて入院3日目に三次救急病院へ転院となった。その時点で異物による気道閉塞は積極的には疑われておらず,CTで指摘された左主気管支内の陰影は痰などの分泌物と判断されていたが,胸部MRI検査を実日気食会報,73(3),2022238(A)(B)

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