いる。Raslanら15)は頭頸部に発生したBSCC 90例のうち,64%の症例でリンパ節転移が認められ,44%の症例で肺,脳,骨,皮膚などに遠隔転移をきたしたと報告している。本邦での報告症例でも42%(8症例/19症例)が遠隔転移を生じている(表1)。その原因として静脈浸潤が多く,遠隔転移が高率に図5 症例2術中所見と摘出標本a)2つの隆起部を含め,一塊にして安全域を決定した.b)上皮下層で腫瘍摘出した.c)新鮮切除標本.検体の大きさは16×20 mm.病変の大きさは13×7 mmであった.図6 症例2病理組織所見a)表層の全層に角化傾向の乏しいSCC(黒矢頭),上皮下に大小の胞巣を形成するbasaloid cell(白矢頭)を認めた(HE染色,×100).b)胞巣内にAlcian blueで青く染色される粘液様物質(黒矢頭)を伴った腺腔構造を認めた(PAS染色,×100).227生じ,高い増殖能を持ち合わせているためと考えられてきた。しかしBSCCは早期では発見されず,進行癌で診断されることも多いので高い悪性度を示していたと考えられる。Shenら16)による報告では頭頸部BSCC 1163例のうち,stage IIIが18.9%,stage IVが62.8%で,進行癌を多く認めている。日気食会報,73(3),2022
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