た(図3a)。上皮下浸潤巣は核・細胞比(N/C比)の高い小型腫瘍細胞を認め(図3b),PAS染色で周囲に硝子様物質を伴った小胞巣を形成し,Alcian blueで青く染色される粘液様物質も認めた(図3c)。以上よりBSCC(pT1)の診断となった。リンパ管・静脈侵襲は認めず,神経周囲浸潤も認めなかった。水平断端は熱変性のため評価不能で,垂直断端は陰性であった。術後経過:水平断端は評価不能であったが,垂直断端が陰性のため追加治療は行わず経過観察の方針とした。しかしながらELPS後9カ月で切除部位と離れた位置の喉頭右披裂喉頭蓋ヒダに新規病変が出現したため,再びELPSで切除した。病理結果はSCC(pT2)で,腫瘍径は120×12 mm, tumor thi-cknessは200 ■mであった。2回目のELPSから2年7カ月後,右梨状陥凹に新規病変が出現したが,手術を拒否し,通院が途絶した。通院中はBSCCの再発転移は認めなかった。症例2:67歳,男性。日気食会報,73(3),2022図2 症例1術中所見と摘出標本a)病変の外側で安全域をつけて粘膜を全周切開した.b)上皮下層で剥離し,腫瘍を切除した.c)新鮮切除標本.検体の大きさは17×11 mm.d)新鮮切除標本のFICE像.腫瘍表層にドット状の異常血管の増生を認めた.224主 訴:特記すべきことなし。既往歴:胃癌(60歳ESD)。生活歴:喫煙;なし,飲酒;焼酎1合/日×47年間,フラッシングあり。現病歴:Y年に行った経過観察目的の上部消化管内視鏡検査で下咽頭右梨状陥凹に表面隆起型(Type0-IIa)病変を認め,生検でSCCと診断した。頸部造影CT検査では原発巣は描出されず,頸部リンパ節転移も認めなかった。下咽頭癌(右梨状陥凹)cT1N0M0, Stage Iと診断し,表在性病変のため,ELPSの方針となった。手術所見:彎曲型喉頭鏡で展開し,内視鏡で白色光観察を行った(図4a)。左梨状陥凹に2つの小さな結節が連なった表面隆起型(0-IIa)病変を認め,FICE併用拡大内視鏡観察ではいずれもTypeB1血管と一部に伸張したTypeB2血管が観察された(図4c, d)。ヨード染色にて病変の大部分が濃染し,隆起部のみが不染となった(図4b)。症例1と同様に高周波ナイフを用いて,両病変を一塊にして,病変から2 mm程度の安全域をつけて周囲をマーキン
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