照射後など),②頸部食道病変(病変口側での吻合が困難),③既に広範な肺炎を合併しており手術リスクが高い症例,④高度の低栄養,があげられる。 食道バイパスの術式には種々の報告がある が11, 13〜15),当院では患者背景や術者の好みにより変遷を認め,これまでに5種類の術式を施行した。胃管による再建を基本とし,気道瘻が大きく食道内減圧の追加が不要であれば食道離断+胃管,食道内減圧を要する場合は噴門瘻+胃管またはY字胃管を選択した。近年は胃管の挙上性が良好な山岸式胃管を選択する場合が多い。また胃切後の場合は回結腸再建を第一選択としている。 2010年以降の本邦からの10例以上の症例報 告9〜11, 16〜18)によると(医学中央雑誌で「食道バイパス手術」,PubMedで「esophageal bypass」にて報告年著者2013的野2014Hihara2015舟木2016KimuraNaka-jima20162020Nomoto2022自験例N. A.:not available.症例数術式(瘻孔あり)胃管+外瘻:1Y字胃管:4Kirschner:310(50%)結腸:217胃管+外瘻:17(12%)(バイパス手術先行)11Y字胃管:3Kirschner:5(N. A.)結腸:334(N. A.)Y字胃管:34胃管+外瘻:18Y字胃管:14Kirschner:844(45%)結腸:434Y字胃管:34(29%)食道離断+胃管:320胃管+外瘻:4Y字胃管:9山岸胃管:3(50%)結腸:1表4 食道バイパス手術の報告例(10例未満の症例報告は除く)渉猟)(表4),食道バイパス手術後の合併症率は高く,全合併症(C-D≧II)47─53%,肺炎12─48%,縫合不全2─36%であった。自験例は全合併症60%,肺炎20%,縫合不全15%であり,決して良好な成績とは言えないが許容範囲内と考えられた。バイパス手術症例は,CRTの影響や食道狭窄による低栄養,また気道瘻孔による慢性気道感染を有する場合が多く,通常の食道切除よりもさらに慎重な手術および周術期管理が求められる。 本検討においてバイパス手術のメリットとして強調すべき点は,術後DSの有意な改善があげられ,退院時に80%が全粥以上の経口摂取が可能となった。背景や適応の相違からステント留置との単純な比較は難しいが,ステント留置後に胸部の違和感や痛みを訴える場合があり,木ノ下ら8)はステント留術後合併症全合併症肺炎N. A.(50%)N. A.(12%)N. A.(36%)1612(47%)(35%)21N. A.(48%)1811(53%)(32%)12(60%)(20%)207日気食会報,73(3),2022縫合不全在院日数N. A.5322444179438(30%)(12%)N. A.N. A.(36%)(12%)N. A.25(2%)(11─98)31(20%)(12─114)19(15%)(12─62)術後 生存 日数後治療N. A.161(67─304)N. A.272N. A.160N. A.18214N. A.(32%)104(26%)141(40%)(18─1113)
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