日本気管食道科学会会報 第73巻3号
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図2 バイパス手術前後でのdysphasia scoreの変化p値130431224001─2<55≦<4040≦IV.考  察 切除不能食道癌に対しては主に化学放射線療法(CRT)がまず選択されるが,経過中にしばしば狭窄や瘻孔を生じる。その結果,高度のQOL低下のみならず,化学療法の継続にも影響を及ぼす場合がある。近年低侵襲な食道ステントを留置される場合が多くなり4〜6),食道バイパス手術が施行される機会は減少している。両者の単純な比較は難しいが7〜9),バイパス手術がより望ましい症例も確実に存在し9〜11),食道外科医には栄養状態などより慎重な術日気食会報,73(3),2022なしありなしあり食道狭窄気道食道瘻mGPSNLRPNI表3 術前因子と術後肺炎肺炎なし(n=16) 313 9 712 4 8 8 7 9206前評価および手術操作が求められる。 食道バイパス手術の良い適応は,①PS 0〜1(化学療法が可能な状態),②予後3カ月以上,③本人の強い経口摂取(とくに常食)の希望,があげられる。さらに,ステントの適応外である点から,④大きな瘻孔12),⑤狭窄長が短いまたは狭窄が軽度(ステント逸脱のリスク),⑥今後CRTを予定,⑦CRT後長期間complete responseを維持(long-CR),などの場合があげられる。一方,バイパス手術の適応となりにくい症例は,①嚥下障害あり(腫瘍浸潤による反回神経麻痺や頭頸部の根治肺炎あり(n=4)0.620.070.710.710.07図3 バイパス手術後の全生存曲線

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