一般のみなさまへ

気管食道科に関連する疾患・症状

窒息

窒息とは

呼吸が阻害されることによって血中酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇して、脳などの内臓組織に機能障害を起こした状態をいいます。

成人の窒息は、餅など、食べものをのどに詰まらせることが最も多く、飲み込む力が弱くなったお年寄りに高率です。また、飲み込む力が十分に発達していない乳児は、ピーナツや飴などを詰まらせることがあります。よちよち歩きの乳幼児は、おもちゃや硬貨など何でも口に入れてしまい、のどに詰まらせることがあります。

窒息の最初の症状はせきこむことですが、完全にのどに物が詰まると声が出なくなります。のどのあたりを両手でかきむしるような動作をすることもあります。いびきのような音を出し、徐々に呼吸が弱くなることもあります。顔が真っ青になったり、けいれんを起こしたり、意識がなくなることもあります。

喉頭異物発症の現場

ハイハイができる生後8ヶ月頃からは、何でも口にしてしまいます(図 1-a,b)。
幼少児では、食べながら笑ったり、話したり、駆け回っていたりが危険です。
また、これらの現場を見かけた大人が突然叱るため、ビックリした患児がひっくり返ったり、椅子などから転げ落ちて、かえって異物を飲み込んでしまことがあります。

図1-a図1-b

成人では、今まで楽しく会話していた者が突然喉を押さえてしゃべらなくなります。喉につかえたことを周囲のものに伝えたいが声が出ず、指で異物を掻き出そうとしたり、胸を叩いたりします。また、喉を押さえたままトイレに立とうとするなどの行動が見られます。

喉頭異物発症の現場での対応

子供が異物になりそうなものをくわえていたり、口に運ぶ現場に遭遇した時は、決して慌てて子供を叱らずに、ゆっくりと指で掻き出しましょう(図2)。

図2

しかし、口内に異物を認めないときには注意が必要で、指を突っ込むことによりかえって異物を押し込む危険性があります。
口内に異物を認めず、異物による窒息が予想されれば、まずは自発呼吸の有無を確認します。自発呼吸がある時は、片手で胸部と下顎をしっかりと支え、頭が体より下になるように保持して、背部を数回叩打します(図3)。

図3

次に患児を仰臥位にし指2本で胸部圧迫を数回行い、次に異物が排出されたか、片手で口をあけ異物を探します。

意識も自発呼吸もない乳児に対しては、まず仰向けにし、下顎を挙げて気道の確保を行います。人工呼吸を2回施行後、前述と同様に片手で胸部と下顎をしっかりと支え、頭は体より下になるように保持して、背部を数回叩打します。次に患児を指2本で胸部圧迫を数回行い、次いで片手で口をあけ異物を探し、異物が確認できた時は指でこれを掻き出します。異物が排出され、自発呼吸が戻るまでこの操作を繰り返し行います。

成人では、意識のある患者ではまず異物が喉につかえたかを問いただします。完全に喉が閉塞している時は、声も出せずうなずくだけです。部分的な閉塞では、咳や喘鳴が聞こえますので、咳による異物の吐出を妨げてはなりません。直ちに救急隊の応援を仰ぎます。しかし、いかにわが国の救急隊の到着が迅速といっても5分以上は時間を要するので、直ちにハイムリック法を試みましょう。

ハイムリック法(図 4-a)とは、患者の背部に回り、片手のこぶしを患者のみぞおちの下端に当て、もう一方の手でこれを覆い両手で強く横隔膜を上方に突き上げます(図 4-b)。これは残された肺の空気によって異物を排出させるもので、通常立位にて行いますが、座位でも、仰向けでも可能です。

また、意識のない患者に行う際は、まずは仰向けにし、下顎を挙上し気道を確保します。自発呼吸がない時はマウストウマウス法で人工呼吸を行い、次に異物を排出させるために、大腿部に馬乗りになり、同様にみぞおちを両手で上方に突き上げます。これを5回繰り返し、続いて片手で口を大きく開け、他方の指で異物の掻き出しを行います。異物が摘出できない時は、再度人工呼吸を行い、異物が排出されるまでハイムリック法を試みます。妊婦や極度の肥満例では、腹部の圧迫の代わりに胸部圧迫を行います。

図4-a図4-b

また、摘出が難しい異物に対して、掃除機の先細(隅用)ノズル(図 5)が有効であったとの報告もあります。

図5

最近では家庭用の掃除機に容易に装着可能なノズル(図6)も市販されており、嚥下障害の多い施設での常備が望まれます。

図6

窒息事故を防ぐには現場での初期対応が最も重要です。あわてずに行動することが大切です。